ホーム » 研究・最先端医療 » 研究・最先端医療 血管外科 » ハイブリッド血行再建

ハイブリッド血行再建戻る

より正確で高度な治療の実現のために世界最新鋭のロボット型血管撮影装置を擁するハイブリッド手術室が2010年に北海道で初めて当院に完成し、先進的な血管外科手術を施行しております。手術室に高規格血管撮影装置が入ることにより血管内治療と外科手術の同時併用が可能となるため、より安全・迅速・先進的な治療環境が実現されました(図1)。 これからの新たな時代の血管外科医は、従来のOpen surgeryで培った匠の技だけでなく、最新のカテーテル治療をも操ることで、患者様に最適な治療手段を選択・実施できる血管総合治療医を目指しており、まさに、このハイブリッド手術室が我々の理想を実現する最適の治療環境となりました。 advmed_p_2_1

当院に導入された高機能ハイブリッド血管内手術室:AXIOM Artis Zeego (SIEMENS社)

1) ハイブリッド血行再建例

この装置は、腹部大動脈瘤や胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術に威力を発揮するのは勿論ですが、下肢動脈閉塞においても、中枢側の動脈狭窄あるいは閉塞病変に対するカテーテル治療を行うと同時に、末梢側の長い閉塞病変に対してバイパス手術を併施するような、いわゆるハイブリッド治療を行う際にも大いに貢献しております。

advmed_p_2_2

浅大腿動脈へカテーテル治療(ステント留置)を行い、膝窩から内側足底動脈の枝( Cutaneous branch)へバイパス手術を施行した症例。末梢側吻合には顕微鏡を用いた。

2) 末梢動脈の足部3D-DSA撮影

この装置が非常に高い解像度を有しており、さらに3次元撮影により血管の深さ・走行が判読可能であるため、造影検査目的にも有用です。 見印を置き、回転させることで、正しく血管の走行を確認でき、小さな皮膚切開で目的動脈部位へ到達できます。

末梢血管の同定

3) 腎機能低下例に対する血管内治療

ハイブリッド手術室の血管撮影装置は解像度がとても高く、少ない造影剤でも有用な造影像が得られます。腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術では通常100ml程度の造影剤が必要でしたが、この装置を用いると20ml程度で施行可能となりました。 下肢の血管造影も、腎機能が不良の場合、この装置を使用して炭酸ガス造影を行って、判読が難しい部位にのみ造影剤原液を数ccから10cc程度使用することで、満足行く診断あるいはカテーテル治療ができ、役だっております。