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最先端の下肢救済術戻る

Distal bypassとは?

下肢を栄養する動脈が慢性的に閉塞し、動脈閉塞病変が進行することで、足への血液供給が次第に途絶え、やがて、足趾や足部に潰瘍や壊死を生じて、下肢大切断の危機に陥る病態を重症虚血肢と呼びます。当科では、閉塞部位をバイパスして直接足部動脈へ血流を送るdistal bypassを行って、血流を正常化し、大切断を回避し、潰瘍部を治癒に導く治療を年間100例程度行ってまいりました(下グラフ参照してください)。5年救肢率(5年間下肢の大切断を免れた患者様の割合)は93%でありました。

遊離筋皮弁移植術を駆使した足再建・救肢術

すでに大きな組織欠損をきたしてしまっている場合、バイパスあるいは血管内治療で血流を回復しても、組織欠損が大きすぎて、完治までに膨大な年月を要し、その間に感染を合併する可能性が大きくなります。そこで、背中の組織(広背筋など)や腹部の筋肉を同じ症例から採取して、その自家組織を足部へもってゆき、欠損部を埋めて治癒を早める方法が、遊離筋皮弁移植術であります。筋皮弁の治癒にも良好な血行が必須でありますから、筋皮弁を栄養する動静脈をいかに良質の血管に良好な吻合形態でつなげることができるかに外科医の技量が求められており、マイクロサージェリーをも操ることで、救肢・救足が急速に進歩している分野です。

Distal bypassの年間手術件数(DPC分科会資料より)

平成23年度の施設別末梢バイパス手術件数

フットケアナースの活躍

病棟では、血行再建後の足の創処置の大部分をフットケアナーシングチームで行っております。さらに、特定医行為看護師が足の潰瘍の状態を判断して積極的に血行再建後の潰瘍治療に貢献しておりますので、血管外科医は手術に集中することができております。