旭川医科大学 実験実習機器センター

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Information

病理組織標本作製受託サービス 組織室(実験実習機器センター2 1階)内線:2601                     一覧に戻る
 担当職員:官野(8627)、智内(8628) 副担当: 

病理組織標本作製受託サービス

 FFPEブロック作製、パラフィン切片作製、凍結切片作製、HE染色、特殊染色等の病理組織標本作製を行います。

サービスの案内

 1. FFPEブロック(ホルマリン固定パラフィン包埋ブロック)作製
 2. 切片作成(凍結ブロック、FFPEブロック)
  ・薄切(未染色標本作製)
 3. 表面脱灰(FFPEブロック)
 4. 染色
  ・hematoxylin-eosin(HE)染色
  ・特殊染色
   -elastica van Gieson(エラスチカ・ワンギーソン)染色
   -one-step trichrome(ワンステップ・トリクローム)染色
   -ゴモリトリクローム染色
   -オイルレッドO染色(凍結標本のみ)
   -NADH-TR染色(凍結標本のみ)

利用料金


作業工程別料金 ※1
FFPEブロック作製 包埋カセット持ち込み
包埋カセット持ち込み無し
180円/ブロック
220円/ブロック
薄切(未染色標本)※2 FFPEブロック1枚目
FFPEブロック2枚目以降
凍結ブロック1枚目
凍結ブロック2枚目以降
200円
100円
300円
150円
表面脱灰
(FFPEブロック)
FFPEブロック1枚目
FFPEブロック2枚目以降
250円/ブロック
 50円/ブロック
HE染色   200円/スライド
特殊染色 elastica van Gieson染色
one-step trichrome染色
オイルレッドO染色(凍結標本のみ)
NADH-TR染色(凍結標本のみ)
ゴモリトリクローム染色
550円/スライド
550円/スライド
400円/スライド
400円/スライド
500円/スライド
 ※1 上記料金は各作業工程毎に適用します。
  例1:凍結ブロック1個を2枚薄切し、それぞれを1枚ずつ別の染色希望
   薄切(凍結ブロック1枚目)300円+ 薄切(凍結ブロック2枚目以降)150円
   + HE染色 200円 + オイルレッドO染色 400円 = 1,050円
  例2:FFPEブロック(包埋カセット持ち込み)1個を作製し、薄切した1枚をHE染色希望,
   FFPEブロック作製180円 + 薄切(FFPEブロック1枚目)200円
   + HE染色 200円 = 580円
 ※2 各ブロック毎に1枚目の薄切料金をいただきます。

受付方法

 ・ 業務の都合上、サンプルのご提出前にご連絡願います。
  凍結組織  PHS:8627 / FFPEブロック  PHS:8628
 ・ 依頼書(ExcelPDF記入例)は、当ページからダウンロードいただくか、組織室からお持ちください。
 ・ サンプルと依頼書を実験実習機器センター(2) 1階「組織室」まで持参してください。
 ・ スライドグラスについては、染色の種類によりコーティングに違いがあるため講座からの持込といたします。
また、作製した標本の破損を防ぐため、スライドケースや蓋つきマッペ等もお持ちください。
 ・ ご不明な点がございましたらkiki_tissue@asahikawa-med.ac.jpまでお気軽にご相談ください。

注意事項

 1 凍結組織
 ・ クラックの入っている凍結サンプルは、薄切の仕上がりに影響が出ますことをご了承願います。
 ・ 感染性のあるサンプルにつきましては、当部門にて取り扱いができないため受け付けておりません。
 2 FFPE
 ・ 包埋カセット側面に、鉛筆で「所属、苗字」をご記入ください。
 ・ サンプルは切り出し面を下にして包埋カセットに入れ、70%エタノールに置換し、密閉容器でご提出ください。
 ・ サンプルが硬組織や石灰化の場合にはEDTAによる脱灰を推奨いたします。

関連情報

 1 固定について
  提出した組織の細胞の自己融解を防ぎ、抗原の非働化をいち早く行うために、採取した組織はすばやく固定液に入れてください。
大きな組織は適当な割を入れて、固定液が早く浸透するようにしてください。
  (1)十分量の固定液を使用してください
    10%ホルマリンまたは4%PFAであれば、検体の20倍量の固定液が必要とされています。
  (2)狭い容器に詰め込まないでください
    検体が変形します。
  (3)大きさは20mm四方以下にしてください
    ホルマリンの浸透速度は最初の1時間で3.6mm、25時間で18mmとされています。
 *乾燥や未固定組織へ水洗は、不良標本の原因となります。
 *固定不良の場合、組織の自己融解や腐敗が生じます。
 *過固定(長時間固定)は染色性が悪くなります。
 2 固定後の処理について
  固定後、組織片を切り出す前に、あらかじめPBSで十分に洗浄し固定液を除いてください。
切り出す厚さは5mm程度にしてください。
カセット内に組織を隙間無く詰めると、パラフィン等の溶剤の入りが悪くなり、染色性も悪くなります。
 3 表面脱灰について
  通常、骨や歯などの硬組織は、固定後に脱灰処理を行った後、FFPEブロックを作製します。血管壁、腎臓、肺など、様々な組織で、加齢や各種疾患、炎症などにより石灰化が生じる場合があり、マウスなどの実験動物では、微小な石灰化や硬組織が見落とされ、薄切時に判明することも多々あります。表面脱灰サービスでは、IHC、FISH またはPCRのような技術に対して特定の分子成分を消失しないようエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用します。
FFPEブロックを、ミクロトームで荒削り、面だし処理の後、24~48時間で標本作製が可能です。
 4 染色について
  ・hematoxylin-eosin(HE)染色
   組織の形態を観察するために最も一般的な染色方法です。特に、核内のクロマチンや細胞質、間質に生じる微細構造の変化をとらえることに適しています。
 
青紫
胃主細胞、膵腺房細胞、形質細胞、軟骨気質、石灰化小体(カルシウム)
真菌、細菌
淡青紫色~青紫
細胞質、細胞間質、繊維など 淡ピンク~ピンク
皮膚角質層(核化細胞)、パネート細胞の分泌顆粒、好酸球、赤血球
胃壁細胞、ランゲルハンス島A細胞、腎近位尿細管
濃ピンク

  ・elastica van Gieson(エラスチカ・ワンギーソン)染色    弾性線維、膠原線維、筋線維を染め分ける染色です。血管壁の障害、肺線維症、心筋梗塞、肝硬変や腎不全における線維増生の確認や悪性細胞による脈管侵襲の深達度など、多くの臓器で病態の把握に利用されます。
 
弾性繊維(肺・血管中膜・黄色靱帯) 黒~紫黒色
膠原繊維(皮膚・血管外膜・骨・軟骨・腱・靱帯)
筋繊維、赤血球、細胞質など
黒褐色

  ・one-step trichrome(ワンステップ・トリクローム)染色法    膠原繊維や糸球体基底膜などを染色することにより、肝硬変症、心筋梗塞や間質性肺炎における膠原繊維の増生や、糸球体腎炎における糸球体基底膜やメサンギウム基質の変化確認に用いられます。
 ※染色試薬の違いにより色合いは異なりますが、染色結果はMasson trichrome染色と同様です。
 
膠原繊維(皮膚・血管外膜・骨・軟骨・腱・靱帯)
細網繊維(肝・リンパ節・脾・胸腺・骨髄)、糸球体基底膜、
硝子様物質、粘液、細胞内好塩基性顆粒
青緑
赤血球、筋繊維、細胞質、繊維素、細胞内好酸性顆粒
黒紫色

  ・オイルレッドO染色 (凍結標本)
   未固定の組織もしくはホルマリン固定(脂肪周囲の蛋白質などの組織成分を固定し脂肪線分の流失を防ぐ)を推奨します。
 
中性脂肪
青紫

   ・NADH-TR染色 (凍結標本)
   筋線維のタイプ1線維(濃染)、タイプ2線維(淡染)を分別し、筋原線維の構造異常を見出すのに役立ちます。

  ・ゴモリトリクローム染色
   筋線維、膠原繊維(コラーゲン)、細胞核の染色ならびに特定に使用します。
 骨格筋、心筋、または平滑筋の対比染色にも使用可能です。
 
青紫
膠原繊維 青緑
赤血球、繊維素、細胞質、筋