○旭川医科大学知的財産ポリシー

平成21年7月31日

学長裁定

旭川医科大学では教育・研究・医療に携わる多くの人々が支えあい活動しています。多種多様な職種が存在する本学では,多くの発見や創意工夫がなされ,それらには技術や知恵として広く社会での共有が望まれるものが少なくありません。これら「大学に蓄積された知」は学外からはその存在が認知されにくいため,学内での利用に留まっていました。近年,教育と研究に続く,大学の「第三の使命」として社会貢献が強く求められており,本学でも医療や医学教育などの面で数多くの取り組みを推進してきましたが,大学に蓄積された知を知的財産権(※1)として権利化,公開し,広く社会での活用を図ることも有力な社会貢献手段となります。

旭川医科大学の知的財産に関する取り組み対象は,先端的研究者の発明に加え,医療や教育に携わる方々の創意工夫なども含まれ,医科大学ならではの独創的な研究,先進的な医療,教育の向上につながる知的財産の創出が期待されます。このような「職務発明(※2)の知的財産権化」は社会貢献活動であるだけなく,旭川医科大学の研究基本方針である「先端的な研究シーズの育成」や「産学官連携による共同研究等の推進」とも合致し,本学における知的創造サイクルの推進につながります。

旭川医科大学ではこのような観点から,知的財産に関する取り組みを強化し,本学で教育,研究,医療に携わる多くの方々の職務発明とその知的財産権化を奨励するため,ここに知的財産ポリシーを定め,理念の共有化を図ります。

※1 知的財産権

知的財産とは「知恵や工夫から生まれる創造物」の総称。発明,デザイン,著作物(本,音楽,映画…)など様々な様態が存在する。知恵や工夫の本質は「人間が頭の中で考え出した無形物」なので,知的財産は知的財産権(特許,意匠,著作権など)として制度化・権利化・公開・保護しないと社会で活用されにくい。

※2 職務発明

雇用関係のある教職員等が,所属組織の施設・設備・研究費等を使用することで生み出した発明。雇用主は相応の対価をもって,職務発明について特許等を譲り受ける権利を有する(特許法第35条)

運用方針

1) 対象者および知的財産の帰属

本ポリシーの対象者は旭川医科大学(以下「本学」という。)と雇用関係にある常勤職員・非常勤職員等(以下「職員等」という。)とする。本学の職員等が本学の資金,人的物的資源等を使用して行った研究等により生じた知的財産(以下「職務発明等」という。)は原則として本学に帰属するものとし,その対象範囲等の詳細は旭川医科大学知的財産取扱規程(以下「知財規程」という。)に定めるものとする。

2) 知的財産に関わる体制

本学は,学内に知財規程に定める知的財産を取扱う部門(以下「知的財産部門」という。)を設置する。知的財産部門は,本学における知的財産の発掘,権利化,管理等を行うとともに,知的財産に関する総合的な窓口機能を担う。知的財産部門は,本学の研究成果と知的財産を社会へと発信し,その円滑活用を図ることにより社会への還元に努めるものとする。

3) 手続き

本学の職員等は,職務発明等をなした場合,知財規程に定められた手続きに従い,速やかに届け出を行うものとする。届け出られた職務発明等は,知的財産管理等に関する委員会規程の定めに従い,職務発明か否か,機関帰属とするかの判断を行うものとするが,その判断に際しては,当該発明等の新規性,進歩性,有用性のほか,社会への貢献度,事業性,権利化費用,アカデミアとしての判断等を総合的に判断するものとする。出願にあたり発明者は必要な各種手続き等に協力することに努める。機関帰属としない職務発明に関しては,その権利等は発明者個人に帰属するものとする。

4) 出願と権利化

本学は承継した職務発明等について出願,権利化,処分等を行うことができる。知的財産権の出願形態として,本学による単独出願のほか,企業等との共同研究成果等である場合は,寄与率を反映した共同出願を実施することがある。出願後であっても,審査請求を実施しない,知的財産権を維持しないと本学が判断した場合は,その権利等を発明者に返還する。本学は承継した職務発明等の出願・登録にあたり,別途定める「旭川医科大学職務発明等に対する補償金支払細則」(以下「補償金支払い細則」という。)に従い,出願時補償金・登録時補償金を支払うものとする。

5) ライセシングと実績補償金

本学は承継した知的財産権をライセシング等により活用する場合,社会貢献,利益相反及び公共の福祉等を十分に勘案するほか,承継した知的財産権が地域企業及び大学発ベンチャー企業が利用しやすいように努める。実績補償金は,別途定める補償金支払い細則に基づきこれを支払う。実績補償金の支払は,職員等が転退職又は在籍関係等終了後もこれを継続する。

本ポリシーは必要に応じて適宜見直し,より効果的な学術研究の振興と社会貢献を図るものとする。

このポリシーは,平成21年7月8日より施行する。

旭川医科大学知的財産ポリシー

平成21年7月31日 学長裁定

(平成21年7月8日施行)

体系情報
第3章 学術助成
沿革情報
平成21年7月31日 学長裁定