耳鼻咽喉科豆知識

人工内耳

人工内耳の原理

人工内耳は体外に装着する装置手術によって体内に埋めこむ装置の2つの装置から構成されています。体外装置は、周りの音声を拾うためのマイクロホン、音声の信号処理を行うスピーチプロセッサ、音声情報を体内に送るための送信コイルからなります。また、体内に埋めこむ装置(インプラント)は情報を受信する受信コイルと、蝸牛の中に入り聴神経を刺激する蝸牛電極からなります。

【図3】
図3 人工内耳体外装置

【図4】
図4 人工内耳体内装置(インプラント)

耳に掛かっているマイクに音声が入ると、マイクから電気的信号がスピーチプロセッサに流れます。スピーチプロセッサでは入った音を分析し、音の強弱や高低によって蝸牛に挿入した電極をどのように刺激するか決めます。その情報が送信コイルから頭の骨に埋め込んだ受診コイルを伝わって蝸牛内電極に届くわけです。

【図5】
図5 人工内耳の原理

蝸牛内の電極は22個あり、音の強弱や高低によって刺激される電極が異なっています。低い音は蝸牛の先端の方に入った電極が、高い音は蝸牛の入口の方にある電極が聴神経を刺激し、音や言葉として感知できるわけです。補聴器は音や声のエネルギーを大きくし、内耳に伝えます。内耳では音のエネルギーを電気信号に変換し、その信号を聴神経が脳に伝達させます。一方、人工内耳は音や言語を直接とり入れて、人工内耳が構成する装置で、電気的信号に変える役割、すなわち内耳にとって変わる役割をもっています。