耳鼻咽喉科豆知識

扁桃病巣感染症

どのように診断するのでしょうか?

まず患者さんから正確な病気の情報を得ることから始まります。扁桃の炎症を繰り返してないか、扁桃の炎症によってひどくなるような他の部位の病気を持っていないか。尿の異常を指摘されたことはないか、たばこを吸っていないか(たばこを吸っていると術後の改善率が下がります。)などを聞きます。それ以外にも炎症反応やASO値などの血液検査、尿検査、扁桃の細菌検査があります。また扁桃を刺激して、その前後で体温、血液検査の値が上昇しているか、尿所見が悪化するかどうかを調べる検査(扁桃誘発試験)などを行います。最後はそれらの検査を総合的に判断し、手術が必要かどうかを判断します。

治療法として何があるのでしょうか?

治療としては両側の扁桃を摘出する手術(扁桃摘出術:扁摘)を行います。入院して、全身麻酔で行うのが普通です。開口器という口を大きく開ける器械を装着し、扁桃をはぎ取るような形で摘出します。手術は1〜2時間で終わり、大きな手術ではありません。手術のあと、のどが痛くなりますが、鎮痛剤で抑えることができ、徐々におさまります。ごく稀に手術の後、出血することがありますが、その場合は止血処置を行います。通常術後1〜2週間で退院となります。退院後は症状の改善の具合を見て行くため、扁桃専門の外来(毎週木曜日、午後2時から)で数年見て行くことになります。

扁桃を摘出して、何か問題になるのでしょうか?

扁桃は多数のTリンパ球、Bリンパ球やマクロファージ、樹状細胞などの免疫担当細胞から成り立っています。1才ぐらいまでは細菌、ウイルスなどの病原体がのどの奥や食道に入らない役目をしていると言われています。しかし、1才以降は全身的な免疫力や抵抗力が獲得され、扁桃の役割はほとんどなくなります。逆に扁桃病巣感染症を起こすこと以外にも細菌の住みかとなり、急性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍を起こしたり、扁桃肥大によって睡眠時無呼吸症候群の原因になったりします。よって扁桃を摘出してもほとんど問題は起きません