耳鼻咽喉科豆知識

睡眠時無呼吸症候群 睡眠中の呼吸の以上について

睡眠時無呼吸の原因

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸運動が起こらなくなる中枢性の睡眠時無呼吸と、空気の通り道である咽頭が閉塞して呼吸ができなくなる閉塞性の睡眠時無呼吸に分類されます。睡眠時無呼吸症候群のうち大多数がこの閉塞性の睡眠時無呼吸です。次に、その原因について紹介します。

1. 肥満

肥満ではからだの外側に向かって太るだけではなく、からだの内側にも脂肪がつくので、咽頭などの空気の通り道も細くなり閉塞しやすい状態になります。日本人の場合では、標準体重より20%以上の肥満になると睡眠中の無呼吸が増加したり、血中の酸素濃度が低下したりするといわれています。

2. 顎顔面の形態

確かに睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは肥満の方が多いのは事実ですが、中にはやせ型の方でも睡眠時の無呼吸や、いびきのひどい方がおられます。この場合には、下顎骨と舌の大きさが関係するといわれています。やせ型の方が睡眠時無呼吸症候群になるのは、下顎が小さく舌が大きいために、舌の付け根のところで空気の通り道が狭くなっている可能性があります。

3. 鼻・副鼻腔疾患

慢性副鼻腔炎(ちくのう)や鼻アレルギーがある人は、鼻がつまりやすい傾向があります。鼻がつまると口呼吸が主体となりますが、口呼吸は通常の鼻呼吸にくらべ、いびきをかきやすく咽頭も狭くなりやすいので、慢性副鼻腔炎(ちくのう)や鼻アレルギーが睡眠時無呼吸症候群を悪化させる場合もあります

4. 睡眠中の体位

人間は自然界のなかで唯一仰向けに寝る動物ですが、仰向けで寝ることは気道が狭くなりやすく睡眠時無呼吸症候群の患者さんにとっては、悪影響をおよぼすことがあります。我々は、睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、枕を低くしたり、側臥位(横向き)で寝ることを勧めています

5. アデノイド肥大、扁桃肥大

アデノイドや扁桃はリンパ組織であり、6〜7歳の頃が最も大きくなっています。その後、加齢とともに自然に小さくなる傾向がありますが、その程度には個人差があり、成人になっても扁桃が肥大している場合には、それが睡眠時無呼吸症候群の原因となっている場合もあります。

6. アルコール、薬物

アルコールや睡眠薬、精神安定剤などは、緊張をほぐし筋緊張を低下させる作用があります。睡眠中に筋緊張が低下すると気道が狭くなったり、呼吸筋の活動が弱くなったりして睡眠時無呼吸症候群を悪化させることがあります。