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自分を支えてきたもの
ー「母」でも「ばあば」でも看護師を続ける理由ー
          

終了報告

2020年9月28日〜10月5日(WEB公開)

 
 2020年9月28日〜10月5日に第35回二輪草セミナーをYou TubeでWEB公開しました。今回は外来看護師長の田中理佳さんに「自分を支えてきたもの-「母」でも「ばあば」でも看護師を続ける理由-」のタイトルでご講演頂きました。2人のお子さんを育てながら看護師の仕事を続けてこられたご自身のキャリアについて時系列でお話し頂きました。25歳でご長男を妊娠し出産されていますが、仕事をしない自分が不安で、仕事の大切さに気づき7ヶ月で復帰されたそうです。子供を保育園に預けることで保育士さんの視点から子育ての価値観が変わったとのことでした。29歳で次男を出産されその後も子育てと仕事を両立されておりましたが、35歳で病棟の副師長を務めた際、疲弊していくスタッフと自分、体調不良から一時仕事を辞めようと考えたそうです。子供が寝静まってからその事を夫に相談していたところ、寝ていたはずの長男が降りてきて、「お母さんはうそつきだ!看護師の仕事が好きだって、野球を始める時に、一度やると決めたことは最後までやり遂げろ!っていったじゃないか。参観日に来れないとか、僕たちの事を理由にするな!」と泣いて訴えたそうです。そこで冷静になり自分はどうしたいのか考えさせられ、辞めずに仕事を続けることにしたそうです。それからは超過勤務時間削減に向けた看護記録時間や申し送り時間の短縮に向けた取組みを実践したり、がん患者さんやご家族の気持ちを尊重した看護を大切に、スタッフやチームでその人の状況に応じた在宅支援を進めたりしたそうです。その後緩和ケア専従看護師や、腫瘍センターの癌相談員として働かれ、42歳で病棟の看護師長へと昇進されました。現在外来師長として働かれている傍ら、管理学を学ぶため大学院に進んで学ばれているそうです。息子さんが気づかせてくれたあの日がご自身の分岐点であり、あの一言がなければここに存在していないと考えると、今の立場があること、たくさんの患者さんやご家族との出会い、スタッフや先生、多職種、上司に恵まれ今がある事に感謝したいと話されていました。ご自身が経験された忘れられない看護場面についても具体的にお話しされ、個々の患者さんに向きあい、寄り添う事によって得られる患者さんやその家族との心のふれあいについてもお話し頂きました。看護師を続ける理由として、多くの出会いや経験が、看護観や管理観に影響を与え、今の自分を形成し支えていること、仕事を続けながらの母親役割は、大きな試練であり、新たな視点や価値に気づくことのできた意味のある経験だったそうです。最後に看護師であること、看護管理者であることは自分らしさであると話されました。当時はモデルケースがいないため、パイオニア的存在だったと思います。与えられた部署で仕事をこなし自分の糧にしながらキャリアを積まれていくご様子は、どの職種にも通じ、参考になると思いました。また、その時々に経験した事やアドバイスを受けたことを真摯に受け止め、前向きに行動している点がとても印象的でした。講演視聴後、スライドも説明も分かりやすく、家庭と仕事を両立させてキャリアを重ねることについて大変参考になった、様々な経験の中の気持ちの変化や落ち込みを通してなお前向きに仕事と育児をされてきた人生を正直に見せてもらい感銘をうけた、病院の求めに応じて努力されたお話しに感銘を受け元気がでた等の感想が多職種から寄せられました。これからも皆様に役立つ講演を企画していきたいと考えておりますので多くの方に聴いて頂ければと思います。

                 (二輪草センター助教 菅野 恭子)