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「家事と育児と仕事と介護 〜酒と泪と男と女〜」

終了報告

2010年5月14日
対象:全職員(休職中の方も含む)・学生

 5月14日(金)輸血部カンファレンスルームにて「第11回二輪草セミナー」が開催され、19名の方が参加されました。今回の講師は、回生会大西病院 形成外科医師で、現在 本学の皮膚科でも非常勤医師としてご活躍されている高橋 美有生 先生です。
 先生はご自身のお父様の変化に気づいて介護を始めたのは、上のお子さんが4歳〜6歳、下のお子さんが1歳〜3歳で まさに子育て真っ只中の時期だったそうです。お父様が認知症、お母様が介護うつではないかという状況の中グループホームを探したくても情報を集める時間的余裕がなかったり、生活レベルが急変したりと介護期間が未定な分憂鬱な気持ちになることもあったそうですが、育ててもらった親にお返しをすると自分自身に言い聞かせていたそうです。 また、職場の方の「いつかは終わるよ」という言葉で気持ちが楽になるなど、仕事、育児、介護を通して出会った仲間や助言者、旦那さまの援助やお子さんの存在が大きな支えになっていたようでした。

 今、親の介護を経験したことで、ご自身の老後は60歳くらいで生活設計の見直しをした方が良いのではないかというふうに考えているそうです。その理由としては、定年時期で運用できる資金があること、引っ越しに耐えられる体力が残っていること、70歳を過ぎてからでは新しい土地に馴染めないことを挙げられ、余裕のある時期に親と相談しておくことや、親も終末期医療に対しての意思や希望を生前からきちんと伝えておくことが必要であるということでした。また、介護環境で様々な支援を選択するためには資金的な余裕も必要であり、これがないと在宅介護しか選べず結局は家族が疲弊してしまうという現実も多くあるそうです。
 さて、独身時代は 上司から「どうしてもやっておきたい仕事(研究・専門医の資格)がある時は家庭を持たない、子どもを作らない」というアドバイスを受け、バリバリ仕事をされていたそうです。お子さんを出産されてからは帰宅後のオンコール免除や勤務時間内で仕事を完結できるようにして、規則正しい生活リズムを崩さない時間帯で勤務するとともに学校行事への参加を優先させお子さん達に意識を注ぐよう心がけていらっしゃるそうです。
  何を大切にし選択するのかは、個々の価値観によって異なると思います。そして、そのために調整しなければならないこともあると思いますが、「今はじっくりと患者さんに向き合う自分の仕事の仕方に、満足している」とおっしゃる先生は母としても医師としても充実しているのだと感じました。
  セミナーの最後に「叔母さんを含め あと4人の介護をすると思う」とおっしゃった先生から「完璧を求めずその時やれることを精一杯できれば良しと開き直る」というアドバイスを頂き、待っててくれる子どもがいるから、待っててくれる親がいるから、待っててくれる患者さんがいるから頑張れるという言葉に、人は自分のためではなく、誰かのために頑張った時こそ大きなエネルギーが溢れ出て来るのかも知れないと思いました。
 高橋先生におかれましては、お忙しい中ご講演頂きましたこと心より感謝を申し上げます。たくさんのことを学び、考える場を頂きまして、本当にありがとうございました。