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女性医師・研究者としてのキャリア形成ー私の経験からー

北海道女性医師の会 主催 講演会 参加報告

2008年4月12日

講師:北海道大学 公衆衛生学教室  教授
岸  玲子先生

 平成20年4月12日、札幌市において、3人の子育てをされながらキャリア形成され、現在北海道大学公衆衛生学教室の教授としてご活躍されている岸玲子先生のご講演を拝聴してきました。この講演会は北海道女性医師の会の主催によるもので、会場には会員の女性医師のみならず、男性医師や医学生の皆さんもおいででした。
 岸先生は公衆衛生学に関連するお仕事をされて沢山のご講演をされてきたかと存じますが、プライベートライフに関するお話をされるのは今回がはじめてとのことです。1時間半にわたって、帯広三条高校時代から現在にいたるまでの勉学、仕事、家庭をどのようにバランスをたもって成功されてきたのかを親しみある口調でお話くださいました。お子様のうち最初のお二人は双子さんで、ご自身は食事の時間も無いほどの大変さだったそうです。そして3人のお子様をつれて2度もアメリカ留学され、そのうち2回目はご主人を日本に残されて母子だけで行かれたそうです。超人的な精神力をお持ちのことと思います。育児と仕事の両立のために、保育所は通算9年間利用され、ご近所の親切な方に子どもが熱をだしたときに見ていただいたりしながら仕事を続けられたとのことです。
 会場からの「先生のモチベーションとなったのは何だったのですか?」という質問には、「おそらく仕事が好きだったからです。」とお答えになりました。公衆衛生の仕事に、世の中に健康や安全のために大切な情報を発信するという大きな社会的使命を感じておられました。岸先生ご自身はワークホリックで、お子様たちに犠牲を強いてしまったことを申し訳なく思っているとのことですが、これからは「人間らしい労働」(decent work)を社会が保障していくことの大切さを説かれました。私たち二輪草センターも医療人が家庭人としての暮らしと「人間らしい労働」を安心して続けられるようにサポートしていきたいと思います。

報告者:副センター長 山本 明美


北海道大学 公衆衛生学教室
教授  岸 玲子先生