第9回イブニングセミナー

終了報告

日時:2019年6月11日(火)
対象:全職員・学生・医療関係者





セミナーの様子

 令和元年6月11日に第9回イブニングセミナーを開催しました。今年度は「キャリアアップを考える 若手へのメッセージ」と題して病院病理部教授である谷野美智枝先生にご講演頂きました。谷野先生は本学の卒業生で北大の第一内科に入局され、その後病理部に転向され、昨年当院病理部の教授に就任されました。以下に谷野先生のご講演の要旨をまとめます。
まず初めにキャリアアップについてお話しがありました。キャリアアップはスキルアップし、出世して収入が上がるものだと漠然とした共通認識があり、一般的にネガティブなイメージがありますが、将来にわたって長く続く自分の役割のことをいい、仕事に取り組むプロセスの中でスキルアップに加え人間性を磨いていく、プライベートを含めた自分自身の生き方を磨いていくことであることとお話しされました。
次に二人の子育てをしながら如何に両立してきたかについてお話し頂きました。年子のお子さんをそれぞれ半年の産休をとり復帰されたそうです。臨床と研究を両立する医局で研究の面白さに目覚め、博士号を取得されました。子育ては保育園の先生、シッター、両親・夫のサポートのおかげですくすくと成長されたそうです。子供はお母さんの愛情だけでは育たない、子育てに時間を割けない事への罪悪感を感じる必要はないと断言されていました。育児と仕事、どちらかを優先するということはなかったそうですが家事については優秀家電や宅配食材を利用して合理化を図り、子供と過ごす時間にあてたそうです。
8年間臨床・研究を進めていくなかで病理の面白さに気づき、病理の教授に声をかけて頂いたのを機に病理医に転向されました。その後アメリカに留学され家族と共にアメリカでの生活を満喫された一方、研究については研究分野を変更されたため、結果がでず落ち込む日々だったそうです。ボスに心境をうちあけたところ、胸部疾患学会の会長を務める雲の上の様な存在のボスが「私も自分の能力にいつもそう思っているよ」と言われた事に驚き、皆つらいことを乗り越えながらふんばって生きているのだと感じたそうです。
 帰国後は北大の第2病理で子育てしながら診断、教育、研究をされ充実した日々をおくられていましたが、旭川医大の教授選考に出るよう勧められ、初めのうちは不安やためらいがあったそうですが母校の旭川医大で頑張りたいと覚悟を決めたそうです。また、何事も覚悟を決めて取り組むことの大切さについて力説されました。
最後に学生、研修医へのメッセージとして心・技・体の重要性についてお話しがありました。中でも育てられにくい心が一番大事で、学生のうちに人を愛する心、人から愛されるこころを作ってほしいと熱く語られていました。谷野先生のポジティブな生き方に勇気と希望を与えられた素晴らしい講演でした。
最後になりましたが、お忙しい中お集まり頂く皆様のために実りあるセミナーを開催していきたいと考えておりますので今後もふるってご参加下さい。



                二輪草センター助教  菅野 恭子