尿路結石症の予防のために


尿路結石症は、近年増加しており、1995年の統計では、男性11名に1名、女性26名に1名が、一生に一度はかかる病気と考えられています。また、結石に一度なった人はその後の5年間でおよそ半数の人が再発するといわれています。尿路結石症は、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病とも多くの共通点があり、日頃から、その発生を予防することが重要です。結石を防ぐ特効薬は今のところないため、水分を多く摂取することとバランスの取れた食事を心がけることが重要です。

(1) 水分を十分にとりましょう

一日の尿の量を増やすことは、尿路結石の形成の予防に最も重要です。
水分摂取量の目安は食事以外に1日2000 mL以上です。1日の尿量を2000 mL以上を目標としましょう。
摂取する水分の種類は特に指定しませんが、清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶やアルコールの過剰摂取は避けてください。水道水やお茶(麦茶やほうじ茶など)が最も適していると思われます。

<少し詳しい解説>
結石の形成は1日尿量が1000mL以下でできやすく、2000mL以上でできにくくなると考えられています。水分の種類は、結石の原因となる物質(シュウ酸、カルシウム、尿酸など)を尿中に多く排泄させるものは避けるべきです。具体的には、清涼飲料水や甘味飲料水は、多くの砂糖や炭酸を含有し、尿中のカルシウム排泄を増加させます。コーヒーは尿酸の、紅茶はシュウ酸の排泄を増加させます。ビールなどのアルコールはその尿量が増加し、結石の形成を抑制する作用も少しありますが、多量摂取により結局脱水を招きやすく、尿中の尿酸排泄が増加します。

(2)  バランスのとれた食事を心がけましょう

食事内容や食事習慣が、尿路結石の形成に関係することは多くの研究によって明らであり、生活習慣病を防ぐためにも重要といえます。

●栄養素摂取量からみた食事指導

1) とりすぎに気をつけるもの:
  シュウ酸、尿酸、動物性蛋白質、砂糖、塩分、脂肪が多いもの

・ シュウ酸 ホウレンソウやタケノコなどの植物(一般に灰汁の多いもの)、チョコレートや紅茶などに多く含まれます。
・ 尿酸 プリン体の多い食品、ビールなどのアルコール類。
表1:プリン体の多い食品
極めて多い 300mg〜 鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、カツオブシ、ニボシ、干し椎茸
多い 200〜300mg 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物
※ これらのほとんどは、いわゆる「美味しいもの」であることが多く、生活習慣病との共通点が多く認められます。これらの過剰摂取は、極力控えましょう。
・ 砂糖 カルシウム排泄を増加させます。
・ 動物性蛋白質 シュウ酸や尿酸、カルシウム排泄を増加させます。
・ 塩分 高血圧を助長させ、尿中カルシウム排泄が増加します。
・ 脂肪 結石患者の脂肪摂取量は多いことが知られています。


2) なるべく多く摂取した方が良いもの:
  クエン酸、マグネシウム、食物繊維、カルシウムを多く含むもの

・ クエン酸 果物や野菜に多く含まれており、尿中でカルシウムが結石化することを防ぐと考えられています。
・ マグネシウムや食物繊維 結石形成を防ぐ働きがあり、これらは穀物に多量に含まれています。野菜、海藻には、マグネシウムが多く含まれています。
・ カルシウム かつては結石の大きな危険物質と考えられていましたが、最近ではシュウ酸を尿中に排泄しにくくする効果があることがわかってきました。また適度なカルシウム摂取は骨量(骨密度)の低下を防ぎます。日本人のカルシウム摂取量はもともと少なく、普段牛乳やヨーグルトなどの乳製品をとらない人は、多く摂取したほうがいいでしょう。
※結石患者の緑黄色野菜摂取量は、不足傾向にあると考えられています。
食生活のバランスの面からも、また動物性蛋白質の多量摂取に対する警告としても、適度な野菜の摂取が勧められます。

●食生活からみた食事指導
1) 朝昼夕 3食のバランスをとる:
  朝食欠食、夕食過食を是正しましょう。

2) 夕食から就寝までの間隔をなるべくあけましょう(夕食後から寝るまでおよそ4時間程度)

日本人の結石患者の多くは、夕食中心型で、特に動物性蛋白質の摂取量が多いと考えられています。結石を作る物質(カルシウム、尿酸や蓚酸など)の尿中濃度は、食後2〜4時間で高まるため、夕食後、すぐに就寝することは好ましくなく、夕食後から寝るまでおよそ4時間程度あけましょう。