石本隆広先生、2005年度 JUHN AND MARY WADA賞を受賞

平成17年10月

【2005年度 JUHN AND MARY WADA賞受賞者】
旭川医科大学医学部精神医学講座 石本 隆広

【2005年度 JUHN AND MARY WADA賞受賞論文】
Convulsive seizures induced by alpha-amino-3-hydroxy-5- methyl-4-isoxazolepropionic acid microinjection into the mesencephalic reticular formation in rats

Takahiro Ishimoto, Shigeru Chiba, Nobuyuki Omori

<邦訳>
ラット中脳網様体へのα-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid (AMPA)注入によって誘発されるけいれん反応について

旭川医科大学医学部精神医学講座1)、現・札幌中央メンタルクリニック2)
石本 隆広1)、千葉 茂1)、尾森 伸行2)

<内容>
 ラットやネコなどの脳幹網様体は、前脳に由来する部分発作の二次性全般化に関与し得る部位として注目されてきた。一方、これらの動物の一側の脳幹網様体は、単発性の電気刺激を同部位に与えると全身けいれんが誘発されることから、全般発作を起始しうる部位としてみなされてきた。
 著者らは、ラットの中脳網様体mesencephalic reticular formation(MRF)にN-methyl-D-aspartate (NMDA)を微量注入すると全身性強直発作が誘発されることも確認している。
 そこで本研究では、けいれん発作の発現におけるMRFの役割を解明する目的で、SD系雄性成ラットの一側MRFに興奮性アミノ酸の1つであるα-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid (AMPA)を10 nmol または2 nmol(1.0 μl)微量注入し、その後の15分間における行動と脳波所見を観察した。続いてAMPA微量注入後15分、30分、および45分の時点で音刺激(60秒間の鍵音)を与え、誘発される発作と脳波所見についても検討した。対照群としては、MRFにsaline(1.0 μl)微量注入を受けたラット群を用いた。
 AMPA 10 nmol注入群では、注入後15分以内に、hyperactivity、running/circling、扁桃核発作様症状(AMKS)、および全身性強直間代発作(GTCS)が、対照群よりも有意に多く観察された。ただし、2 nmol注入群では、AMKSとGTCSは出現しなかった。10および2 nmol注入群では、発作時にはMRFを中心に発作波が出現し、AMKS時には扁桃核優位に発作波が出現した。10 nmol注入群では、音刺激によって、hyperactivity、running/circling、GTCSが有意に多く認められた。
 本研究によって、ラットMRFへのAMPA微量注入によりMRFから起始するGTCSが誘発され、このGTCSは音刺激によっても誘発されることが明らかになった。また、NMDA注入の結果と比較すると、AMPA注入による発作ではAMKSが出現することが分かり、脳幹から大脳辺縁系を巻き込む発作進展過程の存在が明らかになった。
 以上、本研究は、MRFの興奮性アミノ酸の増強によっていくつかの重要な発作パターンが誘発されることを明らかにした。著者らが得た知見は、PenfieldとJasper(1954)の中心脳発作の仮説を支持するとともに、MRFから前脳を巻き込む発作進展過程の存在を示している点で重要であると考えられる。

(以上)

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