太陽系第4惑星として地球のすぐ外側を公転している火星は、古代より赤い輝きをもった星としてつぶさに観測され親しまれてきました。特に6万年に一度の大接近、それに続く米国の火星探査車スピリットによる調査という最新のトピックに世界中が注目しています。火星の特徴を見ると、その重力は地球の3分の1、半径は2分の1、大気の存在など、地球の性状と近いものがあります。さらに現在、スピリットにより「水の存在」を示唆するような報告もなされております。「水がある(あった)かもしれない」という事実は、「生命体がいる(いた)かもしれない」という夢に繋がり、興奮を覚えます。
 惑星間旅行を描いたSF映画作品の一つとして、「2001年宇宙の旅」(アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督、1968年公開)という名作があります。HALという人工知能(コンピュータ)と飛行士たちの確執の果て、モノリス(一枚岩の石碑)を求めて惑星間をさまよう、という内容だったと記憶しています。難解な内容と共に、そのモノリスの意味するところは何だったのだろうか、知性(文明)?、真理?、異星人?、あるいは神? この疑問は強烈な映像と共に今でも私たちの中でくすぶり続けているのではないでしょうか。
 そんな思いを込めながら火星の岩肌を描いているうち、いつの間にかそのモノリスが凛然と地中から現れてくるのでした。そして、いつの日にか遭遇するかもしれない、このような情景を見つめていると、「広大な宇宙の中の人類とは?」に対する様々な思いが巡るのでした。

旭川医科大学 研究フォーラム Vol.4 No.1