人は様々なモノを生み出してきましたが、今回は、「船・車輪・文字」にフォーカスしてみましょう。人類は発達するにつれ、自分のテリトリーを離れ、地元産の作物や工芸品を他の集団と交易するための移動手段として、海上では船舶、陸上では、荷車を生み出してきました。 
 船の歴史をたどればその初めは、丸木船(木の幹をくりぬいた船)からはじまり、次第にアシやイグサ、バピルスを経て、より長い航海の可能な素材そして大型の船舶へと進化していきました。エジプトを例にとりその航跡を辿りますと、ナイル河のほとりを離れて地中海、アフリカ南端(喜望峰)からインド洋、太平洋、南北アメリカといった、壮大な大航海時代に繋がっていったと思われます。
 次に車輪は、陸上を主なる活躍の場として、その初めは丸太棒だったものが大きな外周を持つ「車輪」とその中心を貫く「車軸」へと発展し、その後スポークやホイール・空気式タイヤに繋がっていくのですが、道路の整備とともにその役割は、物品の運搬に留まりませんでした。
 「船と車輪」が成した大きな使命の一つは「文字・言葉」の伝達であったろうと思われます。文字の書記媒体も、粘土板、パピルス、布、紙、電子メディアといったように変化してきました。記録された文字は、話者の寿命を超えて、後の世代へと引き継がれていきました。それが、人間全体の文明の進歩に大きく貢献してきたことは、想像に難くありません。(ウィキペディア参照)

 帆船によっていずこからともなく運ばれてきた、ロゼッタストーンと思われる石版を丸太のコロに載せ、その価値を知ってか知らずか、必死にいずこかに運ぶ男たち。その先には何が待っているのでしょうか。

ロゼッタストーン:紀元前196年、プトレマイオス5世によってメンフィスで出された勅令が刻まれた石碑の一部。1799年、エジプト遠征中のナポレオン軍によって発見された、縦114cm、横72cm、厚さ27cm、重量760kgの石版。碑文は古代エジプト語の神聖文字(ヒエログリフ)と民衆文字(デモティック)、ギリシア文字の三種類の文字で同じ内容が記述されている。1822年、ジャン=フランソワ・シャンポリオンらによって解読された。