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黄斑外来

黄斑外来とは、網膜の中央に位置する黄斑部に起こる様々な病気を専門に治療する外来です。黄斑部は文字を読む際や、物を詳しく見る時に大事な場所ですので、黄斑部に病気が起こると以下のような症状が出ます。



  • 視野の真ん中が見えづらい
  • 物が歪んで見える
  • 物が小さく見えたり、大きく見えたりする


主な疾患と治療について

代表的な病気として、加齢黄斑変性や近視に伴う黄斑症、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜前膜、黄斑円孔といったものがあります。近年急激に増加してきている加齢黄斑変性に対しては、抗VEGF療法と呼ばれる注射の治療や、レーザー治療(光線力学的療法を含む)などの最新の治療を行っており、それぞれの患者様の病状に適した治療法を選択しています。手術が必要となる網膜前膜や黄斑円孔については入院の上、硝子体手術を行っています。



検査について



黄斑外来では眼科における基本的な検査である視力検査、眼底検査に加え、網膜の状態を詳しく見ることができるOCT検査を行います。さらに、病状に応じて腕から造影剤を注射し、黄斑部の血管異常を検出する蛍光眼底造影検査を行うことがあります。検査が多い外来ですので、診療時間が長くなりご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。



(文責:大野 晋治, 2019/05)

角膜外来

眼の表面のうち、くろめの部分を「角膜」といいます。角膜は厚さが0.5mmほどのうすい透明な膜で、眼の中に光を通す役目と、きれいなレンズの形を維持して正しくピントのあった像を眼の中につくる役目をあわせ持っています。角膜が何らかの原因でにごったり、形がゆがんだりしてしまうと、眼の中に光が届かず、ひどい場合は失明に近い状態となってしまいます。

角膜外来では月曜日と金曜日に、細菌性・ウイルス性などの感染性角膜炎、円錐角膜に代表される角膜形状変化、ドライアイなど、各種の疾患に幅広く対応できる体制を整えています。検査室にはスペキュラーマイクロスコープ、角膜形状解析装置、前眼部光干渉断層計を導入して画像診断能力を強化しています。

難治な症例についても対処できるよう、治療法の研究・開発に日々取り組んでいます。また、2005年に発足したNPO旭川医大アイバンクと連携して献眼活動と移植医療の普及推進に努めています。

いろいろな角膜移植の術式

角膜移植とは、病気でもとに戻ることが出来ない角膜を献眼でいただいた透明な角膜と交換する手術です。角膜移植が現在に近い手法で行われるようになって100年が経ちます。確立された移植手術として長い歴史があり、つねに手法は洗練されて進歩し続けています。

もっとも基本となる角膜移植の手法は全層移植です。上皮、実質、内皮の全てを取り除いたのちに透明な移植角膜を縫い合わせます。

近年、病気の部分が角膜のどの部分にあるかをよく見極めて必要な部分だけを移植するパーツ移植という発想が生まれました。パーツ移植には、表層移植、深部表層移植、内皮移植といった種類があります。全層移植と比べて術式が複雑で、ていねいな取り扱いが求められますが、術後の丈夫さや拒絶反応の発生リスクが低いなどの利点もあります。

現代の角膜移植は病状によってふさわしい手法を選択します。どのような治療がふさわしいかは眼科専門医とよく話し合われることをお勧めします。

難治性眼表面疾患に対する羊膜移植

疾病や外傷によって眼表面が乱れてしまうと、平滑さや透明性が失われて難治となることがあります。

羊膜とは胎児が母体内で養われている際に包まれている薄い膜です。これを眼表面の欠損部やきずあとに移植することが治療として有効であることがわかりました。旭川医大では、角膜上皮欠損の遷延、熱傷、化学傷、腫瘍切除後、再発性の翼状片といった難治な眼表面疾患に対する羊膜移植に取り組んでいます。

羊膜移植は、長年にわたる全国の医療機関での取り組みをもとに確立された治療法です。

旭川医科大学は、早くから臨床研究にたずさわり、2012年4月に厚生労働省の定める先進医療施行施設の承認、2014年4月の診療報酬点数収載(K-260-2)から健康保険適応のできる施設として認可されています。

当院での取り組みは羊膜移植の実用化を目指した一連の流れにあり、今後も治療法の開発や普及に尽力してまいります。


羊膜移植の効果:(左)再発翼状片 (右)癒着と瘢痕が除去されています。


(文責:花田 一臣, 2019/05)

近視外来

近視外来は、毎週火曜日の午後に行っていますが、完全予約制です。

近視は、眼球が後方に伸びて焦点が合わなくなる眼球構造の変化ですが、学童の近視と、成人の近視は分けて考える必要があります。

成人の場合には、網膜剥離や網脈絡膜変性などにより重篤な視機能障害を引き起こす要因となる病気として捉える必要があります。網膜剥離の場合、眼底の周辺に生じる網膜裂孔が原因となります、したがって、目の中心の視機能を表す視力や、健康診断で使われる中心だけの眼底写真では、これらの変化をとらえることはできません。散瞳して網膜周辺部まで眼底検査を行う事が必要です。強度近視では黄斑部に網脈絡膜変性が生じることがあり、中心で物を見ることが出来なくなるため著しい視力低下を招きます。このような変化を早期に発見し、適切な治療を行う事が重要です。

学童近視の原因は、よくわかっていませんが、世界中で様々な観点から近視進行を予防する試みが行われています。これらの予防方法が日本人でも同様の効果を得ることができるのかを検証するため、日本で発売される前に国内で多施設共同研究を行います。旭川医大では、これまで近視進行抑制眼鏡や低濃度アトロピン点眼による近視抑制効果に関する多施設共同研究参加してきており、多くの皆様にご参加いただきました。ご協力ありがとうございました。また、新しい予防法に関する研究が始まりましたら詳細をご連絡します。


(文責:石子智士, 2019/5/20)

斜視・弱視外来

斜視と弱視の診断と治療を主に行っています。


斜視について

両目の視線が同じ方向を向いていない状態を斜視といいます。どちらかの目が内側に寄る内斜視、外側を向く外斜視、もしくは上側や下側に寄ったりする上下斜視があります。

斜視の患者さんは、ものが2つに見えたり(複視)、眼の疲れや頭痛、見た目が気になることで困っておられます。当外来では、視能訓練士と連携して必要な検査、治療を行っています。

治療のために必要な場合や、症状を軽くするために眼鏡を処方することがあります。詳しい検査を行った上で必要な場合は手術治療を行っています。


弱視について

弱視とは、視力の発達が停止し眼鏡をかけてもよく見えない状態です。視力の発達する期間は限られており、遅くとも6歳頃までに治療を開始することが重要です。眼鏡装用、アイパッチ、点眼薬による治療を行っています。アイパッチとは、視力の良い方の目を隠して弱視の目を積極的に使わせ、視力の発達を促す治療です。正しい度数の眼鏡をかけるため、調節を麻痺させる目薬を使用し、屈折度数(遠視・乱視・近視)を測定しています。成長に合わせて眼鏡の変更が必要ですが、9歳未満は治療用眼鏡代金の一部が補助される制度がありますので、対象のお子様にご案内しています。



外来は毎週水曜日と木曜日(隔週午前)に医師2名体制で診療しています。発達期にある小児の患者さんは良好な視力と両眼視機能の獲得、年齡の高い小児や成人の患者さんは症状や悩みの軽減を目標に治療を行っています。丁寧な説明を心がけていますが、ご心配なことや疑問点がありましたら担当医師やスタッフに遠慮なくご相談ください。


(文責:西川 典子, 2019/05)

糖尿病網膜症外来

糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で、目の中の網膜が障害を受け視力が低下する疾患です。網膜は、目の中に入った光を感じ、脳へと伝える組織で、カメラに例えるとフィルムにあたります。糖尿病網膜症の治療には、血糖コントロールや網膜レーザー光凝固や硝子体手術など様々な治療がありますが、成人してからの失明の大きな原因疾患です。

糖尿病網膜症の初期の段階では自覚症状がなく、視力の低下や飛蚊感などの自覚症状が出現してからの眼科受診では網膜症がかなり進行している場合が多いです。見えなくなってからあわてて治療を行っても、思うような治療効果が得られないことも少なくありません。このため、自覚症状がない段階からの定期的な診察が必要で、病態に応じてレーザー光凝固を施行して網膜症の進行を抑制します。

旭川医大眼科では、最新鋭のパターンレーザーを導入し、従来よりも痛みが少ないレーザーができるようになり、患者様からも好評です。痛みが少ない分、一度にたくさんのレーザーができ、レーザーのために通院して頂く回数も減らすことができ、いろんな面で患者様のご負担を減らした糖尿病網膜症診療を心がけております。

しかしながら、レーザー光凝固だけでは網膜症の進行が抑えられなかったり、すでに病状が進行し、網膜剥離や硝子体出血が生じた場合には、硝子体手術により、出血の除去や剥がれた網膜をくっつけます。硝子体手術も、最近の手術機器のめざましい進歩により、目に負担が少なく安全な手術ができるようになってきました。旭川医大眼科では、最先端の手術機器を完備して、いかなる難治症例にも対応しており、良好な手術成績を出すことができております。

さらに、糖尿病が原因で、網膜の血管から血液成分が漏れ出るようになり網膜にむくみが生じ、網膜の中心部の黄斑部にむくみが及ぶと、視力が著しく低下します。この糖尿病黄斑浮腫は、網膜症の初期の段階から生じることもあり問題となっています。浮腫を増悪させる因子としてVEGF(血管内皮増殖因子)と言うタンパク質があり、わが国では、このVEGFを抑える抗VEGF抗体の眼内への注射が、糖尿病黄斑浮腫に認可されています。ただ、定期的な通院や注射が必要な場合が多く、根治的な治療の点では、難しい一面があります。抗VEGF抗体療法の他に、ステロイドなどの薬物の投与・レーザー網膜光凝固・硝子体手術などの選択肢があり、これらの治療も組み合わせながら糖尿病黄斑浮腫の治療を行っています。

糖尿病黄斑浮腫の診療で最も大切なのは、患者様個々の網膜の状態を正しく評価し、どの治療法が一番適しているのかを正確に見極めることだと思います。これを実現すべく、旭川医大では、最先端の眼科診断機器を数多く揃えており、これらを用いてより詳細に病気の程度を判定することが可能です。特に近年では、光干渉断層血管撮影(OCT アンギオグラフィー)が導入され、糖尿病による網膜の血管障害を毛細血管レベルで詳細に捉えることができます。治療前後での網膜循環の変化を正確に評価することで、患者様それぞれの眼の状態にあった最善の治療法を選択し、視力の改善・維持を目指しています。

長期間血糖が不安定な状態では、このような高度な治療を要しても難治性で重症な網膜症に至っている可能性もあるので、糖尿病と診断されたら早めに眼科外来を受診して下さい。

(文責:大前 恒明 2019/05)


「増殖糖尿病網膜症のOCTアンジオグラフィーパノラマ画像」

ぶどう膜炎外来

ぶどう膜炎とその他の眼炎症性疾患の診療を行っています。

ぶどう膜炎とは、眼の中の血管の豊富な膜である脈絡膜・毛様体・虹彩を中心に炎症を起こす病気です。原因としてはウイルス感染や自己免疫などいろいろあり、弱い炎症ですぐに治るものから、強い炎症で長引いたり繰り返したりするものまであります。

当院では他の眼科クリニックから紹介いただき、原因検索や治療が必要な方の診療を行っております。診療の流れとしては、まず原因の特定をできる限り進めることとなります。また、同時に炎症の状態にそった治療を行います。その後、原因が明らかになったところで、それに即した治療を加えていきます。ベーチェット病や重症難治性ぶどう膜炎に対しては、抗TNF-α抗体も使っており、視機能の維持改善に効果をあげています。

ぶどう膜炎の他に、強膜炎や血管炎(側頭動脈炎・ANCA関連血管炎・SLEなど)により眼に障害を起こした際の治療も内科と連携し行っています。

それぞれの疾患、それぞれの患者様に、最善の治療のできるよう心がけて、診療しております。

(文責:木ノ内 玲子, 2019/05)

網膜静脈閉塞症外来

網膜静脈閉塞症とは

網膜静脈閉塞症には、網膜静脈の中心部の太い静脈が閉塞する網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と静脈の一部の枝が閉塞する網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の2つのタイプがあります。どちらの病気も静脈が詰まってしまうことにより、眼底出血や網膜にむくみ(浮腫)きたす疾患です。原因には高血圧や動脈硬化などのいわゆる成人病が挙げられます。自覚症状は、急激に視力が低下や、ものが歪んで見えたり、もやがかかったように見える症状が現れます。

網膜静脈閉塞症に対する治療

この疾患の浮腫への治療法として、抗VEGF抗体療法の治療が2013年に認可されました。当院では外来通院にて、抗VEGF抗体療法の注射を行っております。この治療は一回で良くなることの方が少なく、複数回継続して行わなければいけないことがほとんどです。また完全に完治するのが難しい疾患のため、視力低下やものが歪んで見える症状が残ってしまうことが多いです。

網膜静脈閉塞症

(文責:十川 健司, 2019/5)

緑内障外来

緑内障について

目の奥の内側の神経の一部が弱くなり、視野が狭くなる病気を緑内障といいます。 目の硬さ(眼圧)が非常に高いと緑内障になる可能性は高まりますが、日本人では、眼圧が問題ないのに緑内障になるタイプが最も多いです。 他にも、目の炎症のせいで眼圧が高くなったり、おくすりの副作用で眼圧が高くなったりすることもあります。



緑内障でははじっこの視野から障害されることが多く、初期〜中期の緑内障では症状が全くないことも多いです。 日本人における緑内障の患者さんの割合は、40歳台では43人に1人くらいですが、50歳台で32人に1人、60歳台で13人に1人、70歳以上では8人に1人と、 決して珍しい病気ではありません。



緑内障の治療について

現在の医学では、残念ながら緑内障で見えなくなった視野を見えるようにする治療はまだありません。 患者さんの眼圧を今よりも下げることで、緑内障の進行をゆるやかにできると言われています。 点眼薬で眼圧を下げる治療を行いますが、複数の点眼を使っても眼圧が高いままの場合や、 眼圧が低くなっても視野障害の進行が早い場合などは、手術でさらなる眼圧下降を目指します。



患者さんの現在の視野障害の程度やいまの年齢などを考慮し、適切な時期に緑内障の点眼を増やしたり、眼圧を下げる手術を行うことで、 緑内障のために見えなくならないように努めています。



(文責:中林 征吾, 2019/05)

ロービジョン外来

ロービジョン外来は、毎週火曜日の午前と木曜日に行っていますが、主治医からの完全予約制です。旭川医大眼科に通院していない患者さんでも、火曜日の午前の枠で直接受け付けています。ご希望の方は、通院中の眼科主治医から地域医療連携室を通して直接予約できます。

眼科の病気の中には、最先端の治療を行っても、現在の医学では十分な視機能回復が困難なものがあります。ロービジョン外来では、現在保持されている物を見るための働き(視機能)をいかに上手に使えるかを評価して適切な補装具を判断し、患者さんができるだけ快適な生活を送れるよう支援するロービジョンケアを行っています。視力が悪い人のみならず、見え方が悪いと感じている全ての人が対象となります。実際のご要望としては、「読み書きがしたい」と「まぶしさを取り除きたい」が多くを占めます。

見え方に関するケアのみならず、はじめて白杖を使用する際の相談ならびに白杖を使用した歩行訓練や、視力障害を有する方が自分自身で化粧をするブラインドメイクの紹介、公的補助などの社会保障に関する情報を医療ソーシャルワーカーと協力して提供することもありますので、まずは、どのようなことに不便を感じているのか、ご相談いただくことが第一歩となります。

旭川医大眼科では、厚生労働省主催視覚障害者用補装具適合判定医師研修会を修了した医師が中心となって、1997年12月からこの外来を行ってきました。2012年からロービジョン検査判断料算定届出施設となり、2013年から北海道眼科医会の運営するロービジョンケア連携推進プログラムである、スマートサイト北海道版のロービジョンケア拠点眼科医療機関にも登録されています。

(文責:石子 智士, 2019/05/20)

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