専門外来のご紹介 (五十音順)

目の奥には光を感じとる網膜という神経の膜があり、その真ん中の大事な場所は黄斑と呼ばれています。黄斑外来ではこの大事な場所である黄斑に生じる病気の診断と治療を行っています。代表的な病気として加齢黄斑変性や近視に伴う黄斑変性、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜前膜、黄斑円孔といったものがあります。

黄斑外来では目の奥を詳しく観察する眼底検査を行います。眼底検査後は数時間車の運転を控えていただかなければなりませんので、ご自身の運転で眼科を受診される場合は注意が必要です。眼底検査で黄斑疾患が疑われる場合、網膜の詳細な構造を確認するOCT検査や血管の状態を確認する造影検査が追加となることがあります。造影検査は造影剤というお薬を使うため、ご高齢の方やアレルギーの心配のある方には行いづらい検査ですが、最近になって造影剤を使わなくても血管の状態を確認できるOCTアンギオグラフィーという検査機器が登場してきました。当院には最新のOCTアンギオグラフィーが3機種導入されており、黄斑疾患の早期発見や治療効果判定に役立っており、今ではなくてはならない検査の1つとなっています。検査の多い外来ですので、診療時間が長くなりご迷惑をおかけする事もあるかと思いますが、ご了承頂けましたら幸いです。

年々増加傾向にある加齢黄斑変性に対しては抗VEGF療法と呼ばれる眼球への注射治療と網膜光凝固(光線力学的療法を含む)治療を併用し、それぞれの患者様の病状に最も適した治療法を選択して治療にあたっています。

黄斑はものを詳しくみたり、文字を読むために大切な場所ですので、黄斑に病気が出ると視力低下に加え、ものが歪んで見えたり、文字が抜けて見えるという症状がでます。これらの症状は両目でものをみていると案外気がつきませんので、片目ずつ確認することが重要です。以上のような症状をお持ちの方は、一度お近くの眼科クリニックで診察を受けられ、精査、治療が必要な方は当科を受診していただけますようお願い申し上げます。

(主に月、金の午前中に診療を行っております)



(文責:大野 晋治, 2017/04)

角膜外来では、ドライアイの治療、細菌性・角膜ヘルペスを始めとする感染性角膜炎の治療、円錐角膜に対するコンタクトレンズ処方を中心に外来診療をおこなっています。

外来検査室にはスペキュラーマイクロスコープ、角膜形状解析装置、前眼部光干渉断層計を導入しました。画像診断能力を強化、各種の疾患に幅広く対応できる体制を整えています。また、2005年に発足したNPO旭川医大アイバンクとともに、地域医療施設との連携を強めて献眼活動の普及推進に努めています。角膜移植については従来からの全層角膜移植に加え、パーツ移植についても取り組み深部表層移植(DALK)、内皮移植(DSAEK)を取り入れています。

難治症例についても対処すべく、瘢痕性角結膜疾患、難治性角膜潰瘍、眼表面新生物に対する治療法の開発、網膜硝子体疾患合併例に対する同時手術にも取り組んでいます。

難治性眼疾患に対する羊膜移植術

眼の表面はつねに平滑で透明性を保つことによって神経網膜に光を届けています。ところが、角膜や結膜の疾病や外傷で眼表面が乱れてしまうとそれができません。

羊膜とは胎児が母体内で養われている際に包まれている薄い膜です。これを眼表面の欠損部やきずあとに移植することが治療として有効であることがわかりました。旭川医大では、角膜上皮欠損の遷延、熱傷、化学傷、腫瘍切除後、再発性の翼状片といった難治な眼表面疾患に対して羊膜移植術による臨床応用に取り組んでいます。

本治療について2012年4月以降は厚生労働省の定める先進医療として承認を受けて施行していましたが、2014年4月の保険収載にともない、健康保険が適応できる術式として認可されました。この過程には全国の医療機関での臨床研究開始から約20年を費やしております。当院での取り組みも羊膜移植の実用化を目指した一連の流れにあり、今後も治療法の開発や普及に尽力してまいります。

羊膜移植の効果
羊膜移植の効果:(左)再発翼状片 (右)癒着と瘢痕が除去されています。


(文責:花田 一臣, 2017/04)

近視外来は、毎週火曜日の午後に行っていますが、完全予約制です。

近視は、眼球が後方に伸びて焦点が合わなくなる眼球構造の変化ですが、学童の近視と、成人の近視は分けて考える必要があります。

成人の場合には、網膜剥離や網脈絡膜変性などを引き起こす要因となる病気として捉える必要があります。とりわけ、網脈絡膜変性を引き起こす変性近視は我が国の中途失明(社会的失明)原因の4位となっており、日本人にとっては重要な疾病であることがお分かり頂けると思います。

しかし、目の中心の視機能を表す視力や自覚症状だけでは、これらの変化をとらえることはできないため、散瞳下の眼底検査や中心外の視機能を含めた詳細な検査が必要です。とりわけ屈折度の大きな強度近視の人は、定期的に検査を受けることがすすめられます。

また、近視進行のため網脈絡膜変性が生じた場合には、中心で物を見ることが出来なくなり著しい視力低下を招きます。このような場合には、視機能がどれだけ残されているかを適切に評価し、適切な補装具を選定したり、見る訓練を行ったりするロービジョンケアを行う事で、不自由さを少しでも改善する試みを行っています。

強い近視をお持ちで詳細な検査をご希望の方は、主治医に相談し、近視外来に予約を入れてもらってください。

また、そのようなリスクを避けるためには、学童期から、少しでも近視の進行をおさえることが重要になります。そのため、世界中で色々な観点から近視進行予防の研究がなされています。旭川医大眼科では、近視進行予防点眼に関する多施設共同研究に、大阪大学、筑波大学、京都府立医大、慶應義塾大学、日本医大、川崎医大と共に参加しており、研究の成果が待たれるところです。(エントリーはすでに終了しています。)


(文責:石子智士, 2017/4/20)

斜視と弱視の診断と治療を主に行っています。
外来は毎週水曜日です。医師3〜4名体制で毎月100名を超える患者さんを診察しています。


斜視について

両目の視線が同じ方向を向いていない状態を斜視といいます。どちらかの目が内側に寄る内斜視、外側を向く外斜視、もしくは上側や下側に寄ったりする上下斜視があります。

当外来では、視能訓練士と連携して斜視角検査、立体視検査などを行っています。手術治療が必要な患者様には適切な時期に手術を行っています。斜視のタイプによっては眼鏡が必要な場合があります。また、間歇性外斜視(外斜視になったり正しい位置になったりする斜視)に対しては訓練も取り入れています。


弱視について

弱視治療は小学校入学前までが特に重要です。眼鏡装用、アイパッチ、点眼薬による治療を行っています。アイパッチとは、視力の良い方の目を隠して弱視の目を積極的に使わせ、視力の発達を促す治療です。正しい度数の眼鏡をかけるため、調節を麻痺させる目薬を使用し、近視や遠視度数を測定しています。成長に合わせて眼鏡の変更が必要ですが、9歳未満は治療用眼鏡代金の一部が補助される制度がありますので、対象のお子様にご案内しています。

視力の発達しやすい幼少児期を逃さないよう、早期に弱視を発見し適切な治療を行うことを目指しています。


(文責:西川 典子, 2017/04)

糖尿病網膜症の治療として、良好な血糖コントロールや網膜レーザー光凝固・硝子体手術など様々なものがあります。しかし、いまだに糖尿病網膜症は成人失明原因の第2位と上位を占めています。

糖尿病網膜症の初期では自覚症状がなく、視力低下や飛蚊感などの自覚症状が出現してからの眼科受診では網膜症がかなり進行している場合が多いです。見えなくなってからあわてて治療を行っても、残念ながら永続的な視力障害を残すケースが多々あります。このため、自覚症状がない段階からの定期的な診察が必要で、病態に応じてレーザー光凝固を施行して網膜症の進行を抑制します。

旭川医大眼科では、最新鋭のパターンレーザーを導入し、従来よりも痛みが少ないレーザーができるようになり、患者様からも好評です。痛みが少ない分、一度にたくさんのレーザーができ、レーザーのために通院して頂く回数も減らすことができ、いろんな面で患者様のご負担を減らした糖尿病網膜症診療を心がけております。

しかしながら、レーザー光凝固だけでは網膜症の進行が抑えられず、網膜剥離や硝子体出血により、高度な視力低下をきたす場合もございます。その場合には、硝子体手術を施行します。硝子体手術も、最近の手術機器のめざましい進歩により、目に負担が少なく安全な手術ができるようになってきました。旭川医大眼科では、最先端の手術機器を完備して、いかなる難治症例にも対応しており、良好な手術成績を出すことができております。

さらに、網膜の中心部で視力に最も重要な部分である黄斑部が浮腫を起こす糖尿病黄斑浮腫が問題となっています。糖尿病黄斑浮腫に関しては、現時点でもステロイドなどの薬物の投与・レーザー網膜光凝固・硝子体手術などの選択肢がありますし、今後は抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体療法も普及していくと考えています。

糖尿病黄斑浮腫の診療で最も大切なのは、患者様個々の網膜の状態を正しく評価し、どの治療法が一番適しているのかを正確に見極めることだと思います。これを実現すべく、旭川医大では、最先端の眼科診断機器を数多く揃えており、これらを用いてより詳細に病気の程度を判定することが可能です。特に近年では、光干渉断層血管撮影(OCT アンギオグラフィー)が導入され、糖尿病による網膜の血管障害を毛細血管レベルで詳細に捉えることができます。治療前後での網膜循環の変化を正確に評価することで、患者様それぞれの眼の状態にあった最善の治療法を選択し、視力の改善・維持を目指しています。

長期間血糖が不安定な状態では、このような高度な治療を要しても難治性で重症な網膜症に至っている可能性もあるので、糖尿病と診断されたら早めに眼科外来を受診して下さい。

PDR の OCTA パノラマ画像
増殖糖尿病網膜症のOCTアンギオグラフィーパノラマ画像
(石羽澤明弘, 今、OCT angiography でわかること、わからないこと,
『眼科』 2017より引用)

(文責:大前 恒明・石羽澤 明弘, 2017/04)

ぶどう膜炎とその他の眼炎症性疾患の診療を行っています。

ぶどう膜炎とは、眼の中の血管の豊富な膜である脈絡膜・毛様体・虹彩を中心に炎症を起こす病気です。原因としてはウイルス感染や自己免疫などいろいろあり、弱い炎症ですぐに治るものから、強い炎症で長引いたり繰り返したりするものまであります。

当院では他の眼科クリニックから紹介いただき、原因検索や治療が必要な方の診療を行っております。診療の流れとしては、まず原因の特定をできる限り進めることとなります。また、同時に炎症の状態にそった治療を行います。その後、原因が明らかになったところで、それに即した治療を加えていきます。

ぶどう膜炎全般の治療を行っていますが、続発する白内障・緑内障・黄斑前膜などの手術治療も行います。失明率が高いことで知られるベーチェット病の治療には抗TNF-α抗体も使っており、重症な方の視力の維持改善に効果をあげています。ぶどう膜炎の他に、強膜炎や血管炎(側頭動脈炎・ANCA関連血管炎・SLEなど)により眼に障害を起こした際の治療も内科と連携し行っています。

(文責:木ノ内 玲子, 2017/04)

網膜静脈閉塞症外来では、網膜静脈の中心部の閉塞する網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と静脈の一部のみが閉塞する網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)を主に診ております。網膜静脈閉塞症とは網膜の血流量が減少して視力が悪くなる病気で、網膜の血管(静脈)が目詰まりを起こし(閉塞)、網膜がむくんだり(浮腫)出血したりして、急激に視力が低下したり、視野の一部が欠けたり、もやがかかったように見える症状が現れます。

この疾患の浮腫への治療法として、抗VEGF抗体療法の治療が2013年に認可されました。当院では外来通院にて、抗VEGF抗体療法の注射を行っております。

網膜静脈閉塞症

(文責:十川健 司, 2017/4)

旭川医大病院眼科の緑内障外来は、毎週火曜日と木曜日の午前中に行われています。

緑内障は多くの場合、自覚症状なく慢性的に進行しますので、早期発見、早期治療が重要です。
また、緑内障といっても様々なタイプがあり、治療方針も異なります。緑内障について心配されている方は、遠慮なくご相談ください。どうぞよろしくお願いします。


(文責:川井 基史, 2017/04)

ロービジョン外来は、毎週火曜日の午前と木曜日に行っていますが、完全予約制です。

眼科の病気の中には、最先端の治療を行っても、現在の医学では十分な視機能回復が困難なものがあります。ロービジョン外来では、現在保持されている物を見るための働き(視機能)をいかに上手に使えるかを評価して適切な補装具を判断し、患者さんができるだけ快適な生活を送れるよう支援するロービジョンケアを行っています。

この外来では、視力が悪い人のみならず、見え方が悪いと感じている全ての人が対象となります。実際のご要望としては、「読み書きがしたい」と「まぶしさを取り除きたい」が多くを占めます。

また、視機能障害の程度によってはできることに限界があるのも事実です。そのためこの外来は、主治医が必要と判断した人に対し完全予約制で行っています。

見えにくさのために不便を感じている方、治療方法はもうないと言われ今の見え方で諦めていた方でこの外来受診をご希望の方は、すでに眼科を受診している方は主治医に相談し、眼科を受診したことが無い方はまずお近くの眼科を受診していただき、予約を入れてもらってください。ロービジョン外来で見え方を改善する方法が見つかるかもしれません。

旭川医大眼科では、厚生労働省主催視覚障害者用補装具適合判定医師研修会を修了した医師が中心となって、1999年からこの外来を行ってきました。2012年からロービジョン検査判断料算定届出施設となり、2013年から北海道眼科医会の運営するロービジョンケア連携推進プログラムである、スマートサイト北海道版のロービジョンケア拠点眼科医療機関にも登録されています。

2018年の6月16日17日には、第19回日本ロービジョン学会学術総会を旭川医大が主催し、旭川大雪クリスタルホールで行います。この学会は、医療関係者のみならず、福祉・教育などロービジョン者のケアに携わる沢山の職種の方々、さらには、ロービジョンを有する当事者やその支援者も参加されている学会です。iPS細胞を用いた再生医療の話や、視覚障害者教育に関する話、そして、遠隔医療の話など、内容は多岐にわたります。興味のある方は、ぜひご参加頂ければと思います。

(文責:石子 智士, 2017/04/20)

旭川医科大学 眼科学教室  〒078-8510 旭川市緑が丘東2条1丁目1-1 TEL: 0166-68-2543 FAX: 0166-68-2549