毛細血管プロジェクトの概要

高齢化社会に必要な医療開発のための「毛細血管分子生物学」

毛細血管研究から
「多細胞生物の維持・再生のシステム解明」 と
「抗老化、再生にむけた将来の医療開発」を目指します。

なぜ、毛細血管なのか?   「多細胞生物が維持していく上で、本質的なものは何か?」 10数年前に、本学で研究を再始動するにあたり、研究テーマを決める際に、最初に自問した質問です。多細胞生物が維持していくための条件として、自分なりに考え出したのが以下の三つのシステムとなります。すなわち、①各細胞に対して栄養・酸素/老廃物の交換をする循環システム、②生命活動の中で失われる細胞を補給する幹細胞システム、③すべての細胞(あるいは、これらで構成される組織・臓器)が一つの生物として活動するための情報連携システム、なかでも根幹となるものが神経システムです。そして、これら三つのシステムを支える基盤臓器が「毛細血管」であるという結論に達しました(図1)。

fig1

我々の毛細血管研究の現状と今後    これまでの我々の毛細血管研究の中で、毛細血管の形成に関わる新しい因子や幹細胞の発見という研究の芽を生むことができました。そして、研究に着手した当初の予想以上に、多細胞生物としてのヒトが健康を維持していく上での「毛細血管の重要性」を改めて認識すると共に、高齢化社会で直面する様々な医学・医療上の難問を解決する糸口が見えてきました(図2)。

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組織内の微小血管や神経を三次元で可視化する技術や、特定細胞の蛍光標識、標的遺伝子欠損や疾病モデルなどの遺伝子改変マウスも充実し(図3)、様々な臓器・組織を標的とした研究プロジェクトが、講座の垣根を越えて多彩な専門分野の若手医師や大学院生、さらに学部学生が集い、進んでいます。
Fig3-1 Fig3-2 Fig3-3 Fig3-4 Fig3-5
図3

今後、これらの研究プロジェクトの一つでも多く、臨床応用のステージに運ぶべく、本学や他大学の研究者との多角的な連携研究活動を推し進めていきたいと考えています。