心理学研究室

生活習慣病に罹患しやすい性格特性の研究

 報酬の価値は、もらえるまでの時間が長くなるほど、減少します。たとえば 10年後にもらえる100万円は、今現在の貨幣価値に換算すると、数十万円程度の価値しかないことが多いようです。これを価値割引と読んでいます。

 報酬に遅延が加わると、さまざまな要因により、価値が低下します。たとえば、預金金利による貨幣価値の低下、自分の社会経済状態の変化による主観的価値の低下、実際にもらえる確率が低くなることによる期待値の低下などです。
 価値割引は、人間が目先の報酬と将来の報酬のどちらを優先するかを決める重要な要因です。たとえば、私たちは、「健康のことは考えずに目先の御馳走を食べてしまう」という選択肢と、「将来の健康な生活を優先し
て御馳走は我慢する」という選択のどちらかを選ぶかという場面にしばしば出会います。このとき、後者の選択肢を選ぶ人は価値割引が小さい人、すなわち、「健康な生活」という将来の報酬の価値を割り引かない人であると考えられます。
 本研究室では、生活習慣病になりやすい性格特性等を中心に価値割引の個人差について研究しています。

文部科学省科学研究費補助金プロジェクト

医療・教育現場で真に役立つ自己制御尺度の開発と応用